アームチェア製作
新しくアームチェアを作りました。
お客さんからたまに「アームチェアはないんですか?」と聞かれることがありました。
僕は日本の住宅事情を考えるとアームチェアは大きくて邪魔じゃないかなと思っていました。実際に他の家具屋さんにはアームのない椅子がほとんどで、アームチェアの種類は少ないです。
と考えた時にそういう状況であるならこそ、うちのような小規模家具屋が作らなきゃいけないのではないか。
そんな大げさなことを思って、重い腰を上げてアームチェア製作にかかりました。
そう、アームチェアを作るのは重い腰なんです。
アームのない椅子でも手間がかかるのに、さらにアーム付きとなるとなおさら大変です。
でもいざ作り出すとやはり楽しいもので、いっきに作り上げました。
椅子は加工が面倒ですが、組み上がってきて座れた瞬間は家具作りの嬉しい瞬間のひとつです。
座り心地に関係する部分は自信のあるHello!チェアをベースにしました。
今回のデザインでイメージしたのは、ミッドセンチュリー期の庶民の木製椅子。
一昨年のノルウェー旅行とフィンランド旅行で見た、研ぎ澄まされたラインのかっこよさはないけどキャラクターのあるバランスをもった椅子が作りたいと思いました。
まだまだ冷めないノルウェーデザイン熱です。
デンマークで見た名だたる往年のデザイナーの椅子はどれも美しくて、眺めているだけで満足してしまっていました。
でも少しの違和感を同時に感じたのを覚えています。
なんというか、完璧すぎて心が入り込む隙間がないような、、、。
その違和感の正体がフィンランドで見たガツガツ使われているアアルトの椅子を見たときにわかったような気がしました。
道具としてのキャラクターのある椅子に心掴まれて、触れたら壊れそうな繊細さよりも安心感のあるフォルムに惹かれたのです。
僕はこっちの方が作りたいと思ったフィンランド旅行でした。
同じようなことをノルウェーのアンティーク屋に行った時にも思いました。
そんな経験を経て作ったこのアームチェアはOld-fashioned armchairという名前にしました。
古臭い肘掛け椅子です。
作った椅子を眺めて、座ってみて、おおむねはいいかなと思います。
後ろ脚の三角と、普通の椅子とは逆に倒れている脚の角度は思ったような印象になりました。
仕口や寸法の細かな調整はしますが、これでいきます。
Old-fashioned armchair
¥71,000-