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2019.07.03
フィンランド研修 ムーラメ
セイナッツァロの近くの小さな町、ムーラメにアアルト初期の建築である教会があります。
丘の上に建っていて、空の青に映える白い壁が印象的でした。
内装も外装も家具や照明もピカピカで新しいなと思ったら、2016年に全面改修をしたと冊子に書かれていました。
アアルトが新婚旅行で訪れたイタリアの影響が強い古典様式の教会、と紹介されていることが多いですが、僕の印象は「かなりモダンだな」でした。
たしかに今の時代から見ると古典的でアアルトっぽくないように見れますが、約100年前の当時のことを思うとモダンな教会だったことでしょう。
まだ建築家としてはキャリアの浅かったアアルトにとって、この教会の設計ができることは大抜擢だったと思います。
想像ですが、まだ若かったアアルトは近代建築への芽生えへの予兆はありつつ、教会という町に住む人の信仰の場所である教会を、クライアントへの配慮を忘れず、いわゆる教会らしい教会を作ろうとしたんじゃないかな。
でもその求められている教会らしい教会を作るなかでも、自分のやりたいことをさりげなく細かなディテールでしていた、ある種の控えめな挑戦をこの教会からは感じました。
当時の時代の教会というとカクカクしていて厳粛な、権力の象徴のような教会が一般的だと思いますが、このムーラメの教会は柔らかくて優しい印象です。
白いフラットな壁、明るい祭壇、照明や燭台などの小物や、窓の配置など、のちのアアルト建築への繋がりが感じられる要素も多いです。
これまでにユヴァスキュラでいくつかアアルト建築を見ていたので、興味深く見学できました。
始めがムーラメの教会だと違った印象になっていたと思います。