どちらが「いいデザイン」か
日に日に年末感が強まる12月の中旬です。
街ではクリスマスのキラキラがキラキラしていますね。
今年の4月に神戸の港にGライオンアリーナという新しいアリーナが開業しました。
バスケットのプロチームの神戸ストークスの本拠地で、音楽のコンサートもできる大型のアリーナです。
目の前が海、という立地で、神戸が数年前から進めている港湾部の開発の目玉の施設でもあります。
このアリーナはデザイン面でネガティブなことを言われることがあります、同時期に香川県高松市の同じく海の前に開業したSANAA設計の穴吹アリーナと比べられることがあります。
穴吹アリーナにも行きましたが、さすがSANAA設計とあって、大きな建造物なのに威圧感はなくて親しみやすい、大屋根の下は市民に開放されていて瀬戸内の海の風景と相まって とても優しい印象を受けました。
スポーツをするには申し分ないけど、コンサートをするには天井も高くないし、エントランスから客席まで一つの大きな空間なので音響的にはどうなのかな、とは思いましたが。
一方のGライオンアリーナは狭い土地に建てられたというのもあって合理的なボックス型の背の高い大きな建物です。
海から見る神戸の景色の中でもなかなかの存在感です。
内部はぐるりと客席が囲んでいるのではなく、1面が大きな壁で3方に客席が配置されています。角度のある客席はどこからでもステージがよく見えるようになっている最新のアリーナという印象です。
建築的な美しさは穴吹アリーナの方が上、ということに異論はありません。
が、しかしです。
Gライオンアリーナは開業以来コンスタントに大物アーティストのライブが開催されています。
オフスプリングから始まり、マライアキャリー、もうすぐフーファイターズも来る。
神戸ストークスのチケットの売れ行きも好調らしい。
高松という街の規模によるところも大きいとは思うけど、箱物施設としてはGライオンアリーナの方が成功していると言える。
もとよりコンサートに特化した設計にしているところが功を制したのだろう。
ここで思うことは「いいデザインとは?」ということです。
昔読んだナガオカケンメイの本でダイソンの掃除機のエピソードがありました。
日本でサイクロン式のダイソンの掃除機が出始めた頃の話で、著者はそのサイクロン式を過剰にアピールしている未来的なデザインと色が気に入らなかったらしい。
でも評判がいいので使ってみると確かに綺麗になる、今までの掃除機に戻れないほどの性能に感心して、嫌だったデザインも気にならなくなり むしろ掃除がしたくなるいいデザインに思えてきた。ということが書かれていた。
Gライオンアリーナもビックネームがやってくるアリーナとして市民に認められてきたように感じる。
建築物としての美しさと箱物施設としての性能、対極的な2つのアリーナですが どちらが「いいデザイン」かは簡単に判断できなように思います。