買うことができる
まだまだ日中は半袖でやり切れる11月初旬です。
朝 家から出た時は少し肌寒いかなとか思いますが数分歩くとちょうど良くなる、秋ってどんなだっけとなっているここ数年です。
マジカルファニチャーでは暑すぎて絶望的に集客が少なかった夏が終わって少しですが来店いただけるようになってきました。
相変わらず家具の相談は皆無で家具屋としてこれからどうしようと悩みますがフレームの相談は続けていただいています。
いま持っている飾りたいものを飾るためのフレームです。
ポスターなんかの印刷物が多いですが、つい先日は絵が描かれたタイルのフレームを作りました。
タイルなんかの厚みのあるものや立体物を飾るフレームも少し難しくて手間がかかりますが作れます。
綺麗な無垢の木で作るフレームは質感よく控えめで自分でも気に入っています、自画自賛。
もう一つはジャズのポスターだそうで、アンディー・ウォーホルとキース・ヘリングの共作です。
ウォーホルの絵の上にヘリングが上描きしています。
グラフティーの世界では上描きは日常的でしょうが、当時の巨匠であるウォーホルに上描きした若者のヘリングはいったいどんな心境だったのかと考えると面白い。
この2人にポスターを描いてもらうと企画したのはどんな人物だったのか、、。
このフレームの相談を受ける少し前にヘルシンキの本屋に平積みされていたウォーホルの画集をパラパラと見ていたら2人のツーショットがあって 交流があったんだと驚いていたので、このポスターの時にも驚き、2度驚きました。
世界的に超有名なアーティストがニューヨークに集まっていたんですね。
そういえば猪熊弦一郎の本の中にもパリに行く途中で少し寄り道するつもりでニューヨークに行ったら面白くてそのまま居着いてしまったと書かれていましたね、アーティストが吸い寄せられる引力が強い、当時のニューヨークはそういう街だったんでしょう。
マジカルファニチャーでは「飾る」を一つの大切なテーマに据えていて、絵を飾ることも提案しています。
美術館で買ったポストカードでもいいし、好きな映画のポスターでもいい、好きなものを丁寧にフレームに入れて飾る、そしてそれを見ながら日々の生活をする、そしたらきっと楽しいと思います。
飾る楽しみの味を知ったら いつかは本物の絵を買って飾るまで行ってくれたら本望です。
日本では絵を買うことは一般的ではないでしょう。
高い?どこで買える?絵の良し悪しがわからない、、、などなど、理由はあると思います。
私もそう思っていました。
私が初めてアーティストが描いた本物の絵を買ったのはたしか9年前です。
たまたま近くを通ったからというだけで寄ったギャラリーで展示されていた抽象画の絵。
理由はわからないけど、この絵を家に飾りたいなと思ったことを覚えています。
丁寧に値段がキャプションのところに書かれていて、たしか3万円でした。
「買えるな」そう思える値段です、そして人生初めての絵を購入したわけです。
この3万円って値段は1泊2日で温泉に行く、冬物のコートを買う、遠方のライブに行く、いいスニーカーを買う、そんな値段です。
つまり買える値段なんですね。
たしかに名前の知れているアーティストの作品は数十万円〜数百万円しますが、20代のアーティストの作品なら数万円で買えます。
これはいつか「ここに絵が飾りたい」という場所が現れたら「買うことができる」ということ知っておくと選択肢が広がるでしょう。
左利きのエレンという漫画で東京藝大の真白先生が授業中に生徒の作品を買うというシーンがあって、その時にざわつく生徒に「諸君たちはまだ知らないようだね、絵は売れる、たまにな」と教える。
このシーンは絵が売れると思っていない、絵が買えると思っていない、日本のアートのマーケットを的確に捉えていると私は思っています。
話はそれたけど、壁に何かを飾ることは難しいことではありません。
次に美術館に行った時はミュージアムショップで売られているポスターを「額装して飾るといいかも」と思ってもらえたら嬉しい。
フレームの製作も喜んで。