ブログ
ホームブログチャレンジ - Magical Furniture
2024.03.07

チャレンジ


冬から春への移り変わりのこのごろ、花粉と雨が多くなって三寒四温で気温差も大きい、暖かくなるのは嬉しいけど身体にこたえる3月上旬。
今年は特に雨の日が多いように感じます。

少し前のこと、大阪の中崎町に新しくできるカフェのカウンターの上に変形したドーナツ型の吊り棚を製作して設置しました。
主に飾り物を置くそうです。
底面には首振りのできるスポットライトを取り付けました。

この変わった形は施主側からの希望で、現調に行った時に紙で作られたモックアップが天井から吊られていて、それをそのままトレースしたような感じになりました。
こういうものは見た目以上に製作が難しく(面倒で)手間がかかります。
加工品はなんでもそうですが「ななめ」とか「曲面」とか水平垂直から外れると製作にかかる時間が倍増します、それは価格にも跳ね返ります。
今回のドーナツ型もそうで、大変でした。
まず上下の板を同じ形でくり抜くのが手作業では難しいので、今回はCNC(コンピュータ制御で刃が動き図面通りに加工してくれる機械)で基本のパーツを加工しました。(機械を持っている木工所に図面を渡して加工を依頼、ちなみにCNCを買おうと思うと2000万円ほどします)
できた板に突き板を貼って、帆立を取り付けて面材をまわして化粧を施していきます。
オープンではなく内側に板をつけてほしいと言われていたので曲面に貼れるように厚さ1ミリのMDFに突き板を貼ったものを特注で作ってもらって、それを貼り付けました。
内側のアールはきつくて曲げベニヤだと難しいと突き板屋にアドバイスもらいました、こういう専門業者のアドバイスはとてもありがたい。

そんなこんなで時間をかけて加工して現場に持って行ったけど、ここからも取り付けは大変でした。
これだけ大きなものを天井から吊るすんですから簡単には終わらない、この辺の話はもっと地味なので割愛します。

新しいチャレンジはお客さんの一言から始まることがよくある。
それは「難しい」とか「手間」とかがわからない人だからこそのアイデアです。
そのアイデアを「やったことがない」「そんなの無理」で終わらせることは簡単だけど、私の場合は引き受けることの方が多いみたいで、知り合いの工務店の方に「断らない小寺」とボソっと言われたこともあります。
この断らずになんとかしてみるという姿勢は美大時代とそのすぐ後のgmでボランティアをしていた時のアーティストの要望に絶対答えるという姿を見ていたからのように思います。
アートの現場では家具工房とは比較にならないような臨機応変力とスピードを求められています。
そして出来上がった展示は学園祭の作り物のような達成感があるものです。
でもあくまでスポットを当てられる主役はアーティストの作品なので、作ったものは背景でしかありません、でもそれでいい、それがいいと思えるのがアートの現場での仕事です。

話が逸れた感じがありますが、要は新しいチャレンジ大歓迎ってことです。
清々しく二つ返事で「はい」とは言えないことの方が多いですが、なんとかなると思います。
やっかいな依頼も喜んで?喜んで。