瑛人の「香水」のこと、、
2022年もあと少し、ラジオからここがピークだと言わんばかりにクリスマスソングが流れています。
王子公園という下町にいたらクリスマスを感じることはほとんどないけど、コンビニには小さいクリスマスツリーがお湯のポットの横に置かれている。
そんな2022年とは関係ないけど、ひとつ思いいたることがあったのでひとつの曲について書いてみたい。
それは瑛人の「香水」のこと、、、。
2020年の夏、ひとつの新人アーティストの曲に火がついて、瞬く間に日本を鳴り巡った。
コロナ渦の真っ只中、史上初のオリンピックの延期が発表され、ワクチンもまだの時期で世界がひたすら我慢をしていた頃だった。
「ドールチェアーンドガバッナーの香水のせいだよー♪」という特徴的な歌詞が耳に残り、若者たちの共感を得たとか得てないとか。
僕がいつも仕事中に聞いているのはオーバー45の為のラジオ局ということもあって、いわゆる懐メロがメインで、出ているアーティストもベテランの方ばかりです。
だからティーンエイジャーが聴くような踊れるEDMみたいなのはほとんどかからないのだけど、BTSと瑛人は当時よく流れていた。
初めて聞いた時は変な曲という印象だっと記憶している。
この曲がヒットすればするほど、ミュージシャン、ライター、エンジニアのようないわゆる音楽業界の人たちが疑問に感じているのがラジオを通して伝わってきた。
誤解と偏見を覚悟で解釈して一言でいうなら「なんでこのふざけた曲がヒットしてんのかわからん」という感じだった。
いかにいい曲を作ってヒットさせるかを仕事にしている人ほどそう思ったんだと思う。
ラジオなんで直接的にではないにせよ、否定的な意見が多かった。
いちリスナーの僕はというと結構好意的に受け入れていました。
歌詞に共感なんかしないし、歌うめぇとかもないですが、少し嬉しさすらあった。
テレビでもなんどかたまたま見たけど、アコースティックギター1本でカメラの前、観衆の前で堂々とリラックスした雰囲気で歌い切るのは相当の度胸のいることだと思う。
かき鳴らすバンドサウンドなら聴きこんだ人しか気づかない演奏ミスも、瑛人のあのスタイルだとすぐにバレてしまいそうだし、ごまかせそうにもない。
すげぇなというのが僕の感想だった。
あの青臭さも妙に四畳半フォーク感があってよかった。
歌いたいことがある、そんな純粋なところから生まれた音楽のようにも思えた。
生活感や部屋の匂いまで感じるような曲だな、と。
僕が馴染めない複雑な音を打ち込みで重ねて「踊れる」が必須項目であるような現代の音楽のメインストリームとは違う。
ゆずも「超射場猫はあくびをしなーがら♪」と歌っていた頃の方が好きだった、オーケストラはなくていい。
瑛人の「香水」で少し嬉しくなったおじさんは僕以外にもいたんじゃないだろうか。
マネスキンがなんかの授賞式で「ロックンロール イズ ネバーダイッ!!」と叫んでくれたことが嬉しかったように。