家具職人
創業当初は気合い入れて白シャツなんか着てお客さんが来るのを待っていたゴールデンウィークでしたが肩透かしをもらうのも毎年になると『気候のいい連休はお客さんが来ない』と学習して、のんびりと製作してました。
そんなことでマジカルファニチャーも近所も静かなものでしたが、全国的に大層賑わったゴールデンウィークも去って平常運転。
学生の頃はここから夏休みまで祝日がないのがイヤでしたね。
少し前のことですが「マジカルファニチャーで働きたい」と連絡をもらって「雇えないが、今後の道のアドバイスはできる」と1人の若者と会って話をしました。
そうでなくても人気のない業種ですし、うちみたいな地方の1人家具屋にそんな連絡をもらえるのは嬉しいものです、うちも捨てたもんじゃないなと思えます。
気持ちは嬉しいし、余力があれば働いてもらいたいなと考えましたが、人を雇うって大変なことです。
昔ならお小遣い程度の給料で弟子みたいに居てもらうってのもありましたが、いまはそうはいかない。
最低賃金は支払わないといけないし、交通費もいるし社会保障もいる。
要は雇う人の生活を保障する義務があります。
1人雇うコストは年間でどれだけ抑えても300万円ちょっとは必要でしょう。
うちには木工未経験の人にそれを支払うことはできない、情けないですが。
経験者だったら自分の給料以上は稼いでくれるので余地はありますが、工場が狭いという問題もあります。
なんせ開業の時に「人が増える」を全く想定していなかったので雇うなら根本的な構造から整えないといけません。
なので断りましたが、嬉かったなぁ。
前職の職場では関西家具屋ブームの真っ只の頃は毎週のように飛び込みで「働かせてください」と直接着たり電話があったりしていたそうです。
職業訓練校の倍率も二桁だったり、家具を作りたいという人が多かった時代です。
それが10年少しで嘘のようにどこも人手不足で、求人募集をかけても応募がないそうです。
職業訓練校も定員割れだとか、、、。
なんでだろう、、。少し心配。
人気の職業だった家具職人がなぜ不人気職業になったのか、わかりません。
家具作るの楽しいですけどね。
会って話をした若者には職業訓練校に行くことを勧めました。
現場で叩き上げられた職人には学校に行くというのは甘いコースだと思っている人もいるみたいです。
その考えも理解できますが、今後も何十年と続けていく家具作りにとっては、いい回り道だと僕は考えています。
訓練校での1年は人生の財産になります。
若い家具職人が増えて業界に活気が出るといいですね。
※写真は母校の修了式の看板、廃校になっていまはマンションになってる。僕の家具屋道はここから始まりました。