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2019.07.08

フィンランド研修 あとがき


僕が初めてアアルトの作品に触れたのは5年前の9月でした。
フィンエアーでバルセロナにガウディを見に行った帰りに、ストップオーバーで2日間ヘルシンキに滞在して、帰りの日に「飛行機は夕方だから午前中にアアルト自邸ならいけるかな」くらいのついでで見たのがきっかけです。
もちろんアアルトという人物は知っていたし、アルテックの家具も見ていました。
でも多くの木工家がそうであるように、僕もウェグナーやモーエンセンなどのデンマークの家具デザイナーに当時は夢中でした。
美しい木の家具のことしか考えていなかったとも言えます。
それがアアルト自邸を初めて見て体感した時の心地よさ、そこに置かれているアアルトの家具の素朴さや愛嬌が衝撃的だったことを覚えています。
価値観が変わった、ということだと思います。
それからアアルト関係の本を読むようになり、今回は念願のアアルト建築巡りでした。

アアルト初期から後期までの幅広い建築を見れたことは、とてもおもしろくて刺激的でした。
天候にも恵まれてとても有意義な1週間を過ごせたことは一生の思い出になりそうです。

ちょうど夏至の前後にフィンランドにいたので特にユヴァスキュラでは夜がなくて、日本人の僕にはどうも馴染まず、時差ボケというか時間の感覚がつかめない不思議なふわふわした感じで過ごしていました。
街では遅くまで水辺に人は集まっていて、思い思い楽しんでいました。
これがフィンランドの夏なんですね。

アアルト巡りをする中で、細かなディテールの他に印象的だったのが光でした。
どこにでも自然光が入ってきていて、柔らかく明るい空間や自然光を適度に遮って薄暗い空間など、いろんな種類の自然光を建物の中で感じました。
森の中を散歩していても光を意識するようになり、木漏れ日が綺麗だな、とか考えているとアアルトの建築の中でも同じように光を感じていると気付きもありました。
あとは照明や柱や階段など整然としすぎていない空間、丸みを帯びた天井や曲面の壁など、アアルトの建築は自然がインスピレーションの源と言われる意味が実体験として理解できたこともよかったです。
この体験を機械があれば仕事に吐き出せたらと思います。

フィンランドを振り返る書き物もこれで終わります。
家具の製作をこなして、また次の研修旅行に行くことができるよう頑張ります。