ネットで買えないもの
先週、前職の若い設計のスタッフから店に電話がかかってきました。
ショップの2階を宿にするのに準備をしていて、マジカルファニチャーに置いてあったグレーのゴミ箱が欲しい、との内容でした。
最後の1つになっていて、現品でもいいということだったので販売しました。
仕入れたのは3年前、やっと売り切ったと少し安堵しながら店頭から下げました。
ちょうど大阪に行く用事も近かったので、その時に持っていくことにします、と伝えて電話を切りました。
そのグレーのゴミ箱のホコリを取りながら、この一連の買い物の流れがすごく久しぶりだなと思いました。
この10年くらい、ますますインターネットショッピングが流れが大きくなりました。
スマホの普及も追い風になり、パソコンを持たない人たちもインターネット上で買い物をします。
今年のコロナはさらに加速させたことだと思います。
僕もいままではお店に買いに行っていた、プリンターのインクや電池みたいな細かい消耗品、ホームセンターで買っていたちょっとした資材、お店に行って選ぶのが楽しいと思っていた靴下まで3月以降はインターネット上で買うようになりました。
本当に膨大な品数で、情報もあふれていて、ネット上で手に入らないモノや情報はないと無意識に思うようになっていたように思います。
でも今回のゴミ箱の一件はネットで買えないものがあると再認識するきっかけになりました。
このグレーのゴミ箱は2017年の展示会ストッキストの会場でサイトーウッドさんが、その年の限定色ということで受注を受けていたものでした。
それなりの数を作ったとは思いますが、もともと人気のある商品なので売れてしまってお店から姿を消したのでしょう、少なくともインターネット上で販売しているサイトは見つけられなかったようです。
でもマジカルファニチャーの店頭にはある、3年前に仕入れたものが売れ残っているという形で。
それを電話をかけて買うというレトロなやりとりがあったわけです。
今の時代に実店舗がある意味、というのはここ数年ずっと考えていますが明確な答えはでないままです。
でもこのゴミ箱がネットで買えないものがあることを気づかせてくれました。
それはマジカルファニチャーでは長期在庫になっていたものです。
こんな感じで、お店やメーカーにはデッドストックと呼べる長期在庫やたいした問題のない不良在庫や試作品などの、ここにしかないものがあるんじゃないでしょうか。
それを集めたお店があればネットで買えないものがある、お店で商品を見る楽しさというのを再認識できると思います。
それってきっと楽しいし僕ら小売業にも大切なことでしょう。