苦労して削り倒したまな板
この1週間は近所のいいお寿司屋さん(関西では鮓と書くこともある)の改装工事をしています。
オープンして3年半で傷んだ箇所の補修と、カウンターのお色直しが内容です。
ヒノキの大きなまな板も新調しました。
そこでヒノキという木を使うので久しぶりに触っています。
普段僕らのような家具屋は広葉樹を使うことがほとんどなので、針葉樹であるヒノキは山を見れば必ずある身近な木ですが、扱うことはほとんどありません。
ヒノキの家具を専門で作っている同業者も産地に行けばいますけどね。
で、今回は久しぶりのヒノキ。
しかもまな板と握った寿司を置く台で、カンナ仕上げです。
サンドペーパーでなくカンナでヒノキを仕上げるなんて訓練校に行っていた時以来か、前職の時にベンチを作った時以来か、とにかく独立してからは一度もない。
ポイントで使うことはよくあるカンナですが、メインで仕上げに使う機会はないですね。
そんな久しぶりのカンナは調整するところから始まりました。
台の歪みを直し、刃を研いで、です。
カンナは使うこと自体は難しくない、使えるような状態を維持するのが難しい道具です。
数年のブランクはこの調整を苦労させられましたが、数時間かかってなんとか調整完了、いざヒノキに刃を当てて引くとチーという音とともに削った薄いヒノキが出てきました。
爽快ですね。
削った木肌は光っています。
カンナは削るではなく切るので光を反射するんですね。
その爽快な感覚も長続きはせずに、これだけの大きさの木を綺麗に削るのはなかなかの労力です。
4時間くらい、間に研ぎを挟みながら削り終わる頃には右の二の腕がパンパンでした。
苦労して削り倒したまな板は綺麗なので満足ですけどね。
このまな板の上で握られる寿司が楽しみです、改装が終わったら食べに行こうと思います。