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2015.02.27

CH-30


ハンス・ウェグナーの椅子CH-30の修理の依頼を受けました。
デンマークの巨匠デザイナーであり職人だったウェグナーの椅子は綺麗な姿だけでなく、使いやすく製造しやすいデザインでもあって、それにより当時は比較的リーズナブルな金額で販売されていました。
一流の職人でありデザイナーであるウェグナーを尊敬する作り手は多い。
木の椅子に関してはウェグナーの椅子より優れた椅子はもう現れないと思うほどです。

この椅子も実にシンプルなパーツの組み合わせと仕口で作られていて、でも強度の必要な箇所はマッチョにしていて必要のない部分は華奢にしています。だから軽いし半世紀前の椅子だけど折れたりは少ない。
今回の修理内容はホゾの緩みからバラバラになってしまっています。でもホゾを綺麗にして欠けている部分は足して再び圧着するとまた長いこと使えます。
ホゾの緩みの原因は長年に渡る振動によってボンドが切れてしまったり、木が痩せてしまったりなどがあるのですが、これは木の家具だと仕方のないことです。
決して作りが悪いからではない。
そして昔の家具は治しやすいように作られているので治すことができます。
法隆寺も治すことを前提にして木が組まれているそうです。

こういうバラバラになった家具から学ぶことは多いです。
世界は進歩しているのに半世紀以上経っても今の僕らが家具を作るのと同じ技法をとっているというのもおもしろいですね。


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